【FIREを達成するための知識】早期リタイアで年金額が大幅にダウンする?受給額のシミュレーションと注意点について

厚生年金は「たくさん保険料を払うほどたくさんの年金がもらえる」という仕組みになっています。

この記事では、早期FIREを達成することで貰える年金額がどうなるのかについて紹介していきます。

目次

     1.FIRE後の年金負担について

     2.20年早くリタイアすれば厚生年金は半分になる

       ・早期リタイアすると厚生年金水準が下がる

       ・実際のシュミレーション

     3.FIRE達成の時期によって年金水準が変化する

       ・50代でリタイアした場合

       ・60歳でリタイアした場合

     4.注意点

 

 

FIRE後の年金負担について
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国の年金制度には国民全員が加入する「厚生年金」と会社員や公務員が加入する「厚生年金」があります。会社や公務員として働いているあいだは厚生年金に加入していますが、FIRE達成後はどうなるでしょうか?

年金制度はFIRE達成後も加入する必要があります。

会社員をやめても60歳までは国民年金に加入して保険料を収めるのです。

国民年員は20歳から60歳まで40 年収めると満額貰え、未納期間があるとその分の年金額が減ります。

例えば、25 年分しか納めず、残り15年を未納とすると、25/40=62.5%の基礎年金しか貰えません。

そもそも加入は義務のため、リタイア後も国民年金保険料を負担することは織り込む必要があります。

 

厚生年金についてはどうでしょうか?

ちなみに厚生年金保険料には国民年金保険料も含まれている仕組みなので、会社員を続けた場合、老齢基礎年金費を貰い損ねる心配はありません。

FIRE達成後は厚生年金保険料を収める必要は有りませんが、老後の年金額に影響が出ます。

厚生年金について、計算式を用いて説明すれば以下のようになります。

◆厚生年金の受給額を求める計算式◆

 保険料を納めていた期間×保険料を納めていた年数×生年月日等での係数

もっと簡単に言えば、

・平均賃金が高い人は年金額が増える

・加入年数が長い人は年金額が増える

ということです。

 

20年早くリタイアすれば厚生年金は半分になる
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早期リタイアすると厚生年金水準が下がる

FRE達成を目指す人にとっては「早期リタイアするとその分、厚生年金水準」が下がるという問題があります。

老後の定期収入(年金)の金額が終身に渡って大きくダウンするということです。

そのため、通常のFIREに必要な資金の上積みだけではなく、65歳以降本来のリタイア生活が始まったとき、公的年金の水準がダウンする分を上乗せして資金を準備しないといけなくなります。

実際のシュミレーション

2021年度の国の統計によると、夫婦2人分の標準的な年金は月額22万496円となっています。

基礎年金相当額を除くと約10万円が厚生年金に相当するので、人生の半分をリタイアするのであれば厚生年金が半分:10万円→5万円になり、ダウン額は年間60万円になります。

その計算でいくと、30年から35歳くらいの老後を見据えると約1,800万円~2,100万円分の上積みが必要となります。

FIRE達成によって将来の年金額が下がることは考慮しておくべきです。

特に70代以降については、資金運用から手を引くことも考えられ、「運用資金で暮らしているかぎり運用資産は減らない」というようなモデルは通じなくなります。

公的年金は終身で貰えるメリットがありますが、FIRE挑戦者は年金水準が下がるデメリットを受け入れる覚悟が必要となります。

 

FIRE達成の時期によって年金水準が変化する
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前項で約1,800万円~2,100万円の上積みが必要と述べましたが、これは30~40代でリタイアした場合の話です。

50代や60歳でリアイアした場合の年金受給額はどのように変化するでしょうか?

50代でリタイアした場合

年金が半分になるほどではありませんが4分の1程度に減る影響は考える必要があります。

プラス1,000万円くらいは見込めると安心でしょう。

 

60歳でリタイアした場合

65歳を定年と仮定すると、5年早いリタイアとなり、計算上は12%のダウンとなる試算ですが、現在のリタイア年齢では最後の5年間の賃金は極めて低くなります。

つまり、平均賃金は65歳で定年を迎える場合の方が低くなるため、年金額が12%下がるほどの影響はないと考えられます。

プラス2000万円ほどの上積みは必要ないでしょう。

 

注意点
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FIREを目指す方は若いうちから平均年収を上回る収入を得ている人も多いでしょう。

この場合、平均賃金が多くなるため、年金受給額がアップしそうな気がしますが、年金額計算は「平均賃金×加入期間」となるため、「加入期間」の方がネックとなり、受給額のダウンに大きく影響してしまいます。

若いうちからたくさん稼いだとしても基本的には老後の年金水準が高くなると考えない方が良いでしょう。